「精神交互作用」2
精神交互作用については、以前「精神交互作用」とダマシオ仮説で一度書きました。今回はもっとダマシオが具体的に書いてある部分がありましたのでアップしてみます。
森田正馬の精神交互作用は
神経質に於ける余のいわゆる精神交互作用は、吾人が或る感覚に対して、之に注意を集注すれば、其の感覚は鋭敏となり、この感覚鋭敏は、更に益々注意を其方に固着せしめ、此感覚と注意が相俟ちて交互に作用して、以て其感覚を益々強大にするといふ事の精神過程に対して名づけたものである
森田正馬全集 第二巻 P290 神経質の本態及療法 から
ダマシオの著作では
まず、情動の原因になるような思考が心に生じると、それが情動を引き起こす。ついでその情動が感情を生み、今度はその感情が、主題的に関係していてその情動状態を増幅しそうな別の思考を呼び起こす。呼び起こされた思考は、新しい付加的な情動に対する独立した誘発因として機能し、それにより現在進行中の感情状態を高めるかもしれない。かくして、さらなる感情を生む。気が散って、あるいは理性によってそれに終止符が打たれるまで、そのサイクルはつづく。
感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ P158 から
まず、ダマシオの情動という意味は「身体の変化」という意味であることは以前に説明したとおり。ダマシオによると身体の変化は感覚を介して脳に入り、感情として知覚される。さらにその感情がその対象に注目させ、さらに情動(身体の変化)を起こさせて、さらなる感情を知覚し、ループは続く。
この関係はセイリアンス・ネットワークという概念とも関係すると考えている。その話はまた後で。
※この内容については第36回日本森田療法学会で発表した。