ヨーガと感情の法則
体を意識すると、時間の感覚も変わる。トラウマを負った人は、自分ではどうしようもない、恐怖に満ちた状態に永遠にはまりこんでいるかのように感じている。ヨーガでは、感覚はしだいに強まり、頂点に達し、それから弱まることを学ぶ。たとえば、人は自分にとってとりわけ難しいポーズをとるようにインストラクターに促されると、そのポーズによって引き起こされる感情に耐えられないだろうと予想して、最初は挫折感や抵抗を覚えるかもしれない。優秀なヨーガ教師は、どんなものであれ緊張にただ意識を向けるように励まし、どれだけ長い間それを感じるかを、呼吸の回数で決める。「この姿勢は、呼吸を10回する間、保ちます」という具合だ。こうすると、不快感がいつ終わるのか予期しやすくなるし、身体的苦しみと情動的苦しみに対処する能力が高まる。あらゆる経験が一時的なものだと気づくと、自分を見る目が変わる。
身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法 ベッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 P449
身体感覚は感情のもとになる。この文章は森田療法の「感情の法則」によく似ている。心理療法に併せて行うヨーガの意味と「感情の法則」の意味を解説していると思う。
入院森田療法の「絶対臥褥」の代わりにヨーガということになるのかとも思う。