1. TOP
  2. 森田療法
  3. 脳科学
  4. ベッセル・ヴァン・デア・コーク
  5. 同調

同調

 とはいえ、それに気づけば、自分自身のために、そして不安定な愛着をわが子に引き継がせないために、人間関係を結ぶ新たな方法を探すきっかけになるかもしれない。第五部では、リズミカルな行為と相互作用を訓練して、損なわれた同調システムを修復する、数多くの取り組み方を取り上げる。自分自身や他者と同調するためには、自分の体に基づく感覚(視覚、聴覚、触覚、平衡感覚)を統合する必要がある。これが赤ん坊のころや幼少期に起こらないと、のちに感覚統合の問題が発生する可能性が高まる(もちろん、その問題につながるのはトラウマやネグレクトだけではない)。同調するとは、音や声、動きを通して共鳴し、結びつくことで、そうした音や声、動きは、料理をしたり掃除をしたり、床に就いたり目覚めたりといった、日常の感覚のリズムに埋め込まれている。おかしな顔をして見せ合ったり、ハグをしたり、適切な瞬間に喜びや非難を表したり、ボールを投げ合ったり、いっしょに歌ったりすることも、同調と言える

身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法 ベッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 P202~203

 同調システムは「愛着」に必要なものであり、身体感覚、ひいては感情と深い関係がある。

 普通の母親は、幼児に自然に語り掛けている。「いい風が吹いてきたね。気持ちいいね」と。

 森田療法の一つの技法に「感情の自覚と受容を促す」というのがある。私は、ダマシオの理論を基本に「事象と感情を並置し、感情の再確認を行う」ことが一つの具体的手法であると信じている。それはまさに同調と関係する。

 ある事象、例えば「風」であれば、ピューピューという音、身体にあたる風の感覚(触覚)などを統合することが必要になる。そしてその感情がそれに色付けし、同調することで、母親は子供に教えているのである。

 治療においても同様である。一つ一つの事象について、身体感覚を確認し、さらに感情で色づけし、同調することである。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください