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情動脳と身体反応

心的外傷後の反応を起こすエンジンは、情動脳の中にある理性脳が思考というかたちで現れ出てくるのとは対照的に、情動脳は身体的反応というかたちで姿を現す。たとえば、はらわたがよじれるような感覚、心臓の激しい鼓動、速く浅い呼吸、胸が張り裂けるような感覚、話すときの緊張した甲高い声、虚脱や硬直や憤激や過剰な自己防衛を示す特徴的な体の動きなどだ。

身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法 ベッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 P335

 「不安症状」も同じであると考える。不安に襲われるときには、身体が変化しているのである。

普通精神といえば多く自分の気分即ち感情および其の他の精神活動について自ら意識し得たる単に主観的のもののみ考えるようである。然るに此の意識というものは身体内部若しくは外界の刺激があって、神経に一定の興奮が起こった時初めてここに一定の気分を起こす。其の気分を起こし得る限界を感覚閾若しくは刺戟閾と名付ける。刺戟とは言いかえれば身体に及ぼす変化という事であって、例えば吾人が静かな室に寝ている時実際は音も光も外界無量の刺戟があり、内部には心臓拍動血行等絶えず刺戟があるけれども、何の感じも起らぬが、或る変わった音を聴き或いは胸騒ぎの起こるとき初めてここに或る気分を起こすのである。即ち吾人は此の身体に及ぼす変化というものを除いて全く気分というものを認める事は出来ない。

森田正馬全集 第一巻 P154

 このことから、コークの治療法についても、森田療法と重なる部分が見えてきたようだ。

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