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連合作用

 連合作用はいわゆる恐怖症に成立にとって重要な役割を果たす。例えば、ある経験が元になり、なんの変りもない「人混み」と「不快」が連合して、症状を引き起こす。
 ダマシオも森田も、その作用について言及している。

 森田は、

此刺激の加りて起る種々の変化は、之が意識若くは無意識の状態の下に、一の経験として、吾人の身体内に印象、保存さるるのである。斯く蓄へられたる多くの経験内容は、其内から現在、新たに起った刺激に対して、之に同時、近似、反対、習慣との関係から、其時々の最も都合よき条件により、自然に連絡、解発して精神活動になるのである。これが連合作用である

             森田正馬全集第二巻 神経質ノ本態及療法 P299

 

 ダマシオは、「かつてあなたが子供のときに何か強烈な恐怖を経験していたかもしれない家」という具体例を挙げて、

生活経験によって、あなたの脳が、かつて経験した不快さをそのような家と関連づけるのだ。不快さの原因がその家自体と関係していなくてもかまわない。いわば連座である。その家は何の罪もない第三者である。あなたは特定の家において不快を感じるように、いや、もしかすると、よく理由もわからないまま特定の家を嫌うようにさえ、すでに〈条件付け〉されているのだ。・・・だが、恐怖症は正常でも平凡でもないが、これも同じメカニズムで身についてしまう可能性がある

             感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ P85

 また角度を変えてみると、「抽象」ということも関連するという。

 「抽象の一人歩き」は他にもあります。人間にはどんなものにも「パターン」や「関係性」を見つけようとする習性があるので、意味のないランダムなものにも「パターン」や「関係性」を見つけようとするバイアスがかかってしまうことがあります

       具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ P98 細谷 功著

 

 人間だからこそ、思考ができるからこそ、恐怖症になりやすいとも考えられるのである。

 

※この内容については第36回日本森田療法学会で発表した。

※パソコン故障で苦労しています。投稿が遅くなりました。

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