悪循環を断つ
ティモシー・ウィルソンは悪循環を断つ方法について、ダニエル・ウェグナーらの考えを紹介している。私は詳しくないのであるが、ナラティブに通じるものかと思う。森田療法での応用に役に立つと思う。
意味ある物語を作り出すことはまた、苦しいトピックについて考えるのを抑圧しようとすることから遠ざかることにもなる。もしある出来事に一貫した説明がないならば、それはいつまでも思い出され、反芻を重ねるか、あるいは思考を押さえつけようとするかだろう。ダニエル・ウェグナーと共同研究者たちが見いだしたように、意識的に思考を抑制しようとしてもうまくいかない。束の間それを考えないようにすることはできるかもしれないが、嫌なことについての考えは、しばしば押し寄せるようにして思い出される。疲れていたり、何かに気をとられているときには、思考抑制は逆効果であり、ますますその嫌なトピックについて考えてしまう。他方、説明され、人生のストーリーに同化された出来事は思い出されにくく、またそれを抑制しようという試みも起こりにくい。
自分を知り、自分を変える 適応的無意識の心理学 ティモシー・ウィルソン 著 村田 光二 監訳 P236
要約すれば、心理療法は、クライアントが以前にもっていた物語より、有効な物語を受け入れることによって有益なプロセスとなるのである。
同上 P239
そして、その物語は適応的無意識に合致した物語が望ましいということだ。