「快楽」と「欲望」
依存症は強迫と通じていることを「依存症ビジネス」という本では紹介している。特に考えさせられるところは、下記の部分である。
グレアムは、ここで何か重要なことを発見しようとしている-だが、彼の説は、「何かを過度に好きになる」という部分を、「何かを過度に欲する」と言いかけたほうがうまく働くだろう。現代の世界で加速しているのは「快楽の経験」ではなく「欲望の経験」なのだから。欲望の経験は、消費することから得られる快感が蒸発してしまったあとでさえ、私たちをじらしつづける環境のキューによって加速する。
依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実 デイミアン・トンプソン 著 中里 京子 訳 P332~333
買い物依存で何かを強迫的にコレクションしている、インターネットポルノで非常に多くの画像をダウンロードしているなど、「欲望」の遂行に強迫的で、その行動を行うと満足してしまうという。
森田療法では、「生の欲望」、すなわち、よりよく生きていくための欲望を賦活すると説くが、「快」を伴う誤ったベクトルに乗ってしまうと逆効果になる。できるならば、環境に合致した「快」を伴う行動を自身が探索するような形が望ましいと考える。