感情を隠すということ
人は秘密を守って情報を伏せておくかぎり、基本的に自分自身と闘っている状態にある。自分の核心にある感情を隠すには膨大なエネルギーが必要なので、やり甲斐のある目標を追い求めるためのモチベーションが奪われ、辟易として、機能停止に陥ったままになる。その間もストレスホルモンは体にあふれ続け、頭痛や筋肉痛になったり、便通や性機能に問題を生じたりする。さらに、不合理な行動をとるようになり、それによって自分もばつの悪い思いをし、周囲の人を傷つけかねない。こうした反応の源泉を明らかににして初めて、自分の感情を、緊急の注意を要する問題の合図として使い始めることができる。
身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法 ベッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 P382
森田療法では『あるがまま』という言葉もある。また、ある先生は『その感情を大切に持って生きていきましょう』と指導する。感情を隠すことによって、派生する「不合理な行動」は、森田療法では『はからい』と言う。
また、「反応の源泉を明らかにする」ということは、
ヴェトナム帰還兵のカール・マーランティスは、『戦争に行くとはどういうことなのか』で、卓越した戦闘能力を誇る海兵隊の戦闘部隊に所属していたときの記憶と格闘し、自分の内に見出した恐ろしい分裂状態に直面する。
身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法 ベッセル・ヴァン・デア・コーク 著 柴田裕之 訳 P382
上記のようにトラウマでは、「反応の源泉を明らかにする」ためには、恐ろしく、苦しい、不快な記憶と格闘することが必要となる。森田療法では、それと似た概念で『恐怖突入』がある。