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自意識

 森田正馬、ダマシオとマクリーンによる自意識の見解をここに記す。森田正馬は

更に自己意識といふ事に就て、之は中々困難なる問題でとても簡単に説明する事は出来ぬけれども、一寸其要点を述べて見れば、先づ吾人は感覚によって、身体に風があたる、周囲の色々の変化が眼に視える等の事で、外界の存在を認識し、又一方内界には運動感覚、位置感覚等があって、取らんとして手を其方にやり、視んとして其方に転ずる等の自覚があって、ここに外界と自己を区別認識する事が出来る。で此認識不明瞭である時は自己認識も従て不明瞭である。此故に幼時から精神の次第に発達するに従って、自己意識も益々明瞭となるのである。


森田正馬全集 第六巻 P44~45

ダマシオの見解は、

ごく簡単に言えば、私は意識の問題を密接に関係した二つの問題の組み合わせと考えている。第一の問題は、ぴったりした言葉がないからわれわれがふつう「対象のイメージ」と呼ぶ心的パターンを、人間の有機体の内側にある脳がどのようにして生み出しているのかを理解する問題である。

さて、意識の第二の問題。それは、対象に対する心的パターンを生み出すのと並行し、脳がどのように「認識中の自己感」を生み出すのかという問題である。

つまりあなたが外的に知覚しているものについての感覚的イメージと、それとの関連であなたが想起するイメージが、あなたの心の大半を占めてはいるけれども、それがすべてではない。そうしたイメージ以外に、イメージされたものを観察する者としてのあなた、イメージされたものを所有する者としてのあなた、イメージされたものへの潜在的行為者としてのあなた、を意味する、この別の実在がある。ある対象との特別な関係の中に、あなたという実在がある。

その実在は静寂で捉えがたい。・・・私はあとで、そのような実在のもっとも単純な形も、やはりイメージ―ある感情が構成するイメージ―であることを示そうと思う。そのような観点で言えば、あなたの実在とは、何かを感知する行為によってあなたが部分修正を受けるときの「事象の感情」である。

無意識の脳 自己意識の脳 身体と情動と感情の神秘 アントニオ・R・ダマシオ 著 田中 三彦 訳 P27~29

マクリーンは

人間は私的な内部世界と公的な外部世界という二つの世界の間で生きている。内部世界は自己閉鎖的であるが、外部世界は他の多くの人と共有される。この外部世界の中で生き続け、また働きかけるための心肺機能や身体器官を統御しているのが新皮質と、新皮質と神経経路で結ばれている皮質下組織である。この新皮質の進化には、外部世界を測定する感覚器官の進化がともなった。現代では、感覚器官のうち視聴覚器官だけが、電子技術による増幅と伝達の装置をもっている。嗅覚と味覚はこのような装置をもっていない。

 二つの世界は前脳辺縁系の海馬で出会っていることや、てんかんの発作時には二つの世界の整合性が失われることが明らかになったのは比較的最近である。二つの世界の非整合の直面した自分の姿に対する情動が自意識である。

三つの脳の進化 反射脳・情動脳・理性脳と「人間らしさ」の起源 ポール・D・マクリーン 著  法橋 登 編訳・解説 P211

何がどうか説明しづらいが、その考え方の類似性はあるように思う。

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