ダマシオのいう生命調節
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情動と感情の問題の続き。ダマシオの考える生命調節とはどういうものか?
この仮説は、感情と理性を結びつける。
そして森田療法にとって「思想の矛盾」を脳科学で説明することができる根拠にもなると思っています。
無意識の脳 自己意識の脳 身体と情動と感情の神秘アントニオ・R・ダマシオ 著 田中 光彦 訳 第2章 P81より改変
ダマシオの解説は以下です。
その大本において、情動はホメオスタシス調節の一部である。・・・そして、たとえば条件付けのような強力な学習機構の結果として、さまざまな情動によって、ホメオスタシス調節と生存的「価値」が最終的に、われわれの自伝的経験の中の無数の事象や対象と結びつくことになった。・・・情動は自動的に有機体に生存指向の行動をもたらしている。また、情動を感じ取るように―つまり、感情をもつように―なっている有機体においては、情動が生じると、それは「いま・ここ」において心に作用している。
結局、意識があるから、あらゆる対象が認識され、それにより、有機体が適応的に反応する能力が強化され、有機体のニーズに気が配られる。
無意識の脳 自己意識の脳 身体と情動と感情の神秘
アントニオ・R・ダマシオ 著 田中 光彦 訳
第2章 P80~82より抜粋
すなわち情動は生存するためにあるということ。
また、進化した意識をもつ有機体は、よりよく生きる目的ために、感情を知覚し、心で推論できるということです。別の言い方をすると情動や感情は自動調節の世界すなわち基本的ホメオスターシスの世界とイマジネーションやシミュレーションの世界とを結び付けることができるということです。
※この内容については第34回日本森田療法学会で発表した。