「あるがまま」を考える
ダマシオと森田の考えがよく似ていることを説明してきましたが、森田療法の一つの概念である「あるがまま」を、ダマシオの仮説から考えてみようということです。
二つの側面があるように思います。
ダマシオの考えの基本は「よりよく生きていく」ということがあります。そのように生きていくためには、周囲の環境との関係が重要なのは当然です。
「環境」とはなんだろう?
この世界にはいろいろな人がいます。身体が大きな人、小さな人。裕福な人、そうでない人。文化の違い、宗教の違い。同じ環境にいても、その人にとっての環境の見え方は違うのではと考えます。
環境は、いわゆる周囲の環境とそれぞれの人の環境に働きかける能力との相互作用によるものと考えます。それは流動的なもので、今はそうでも、経験を重ねたり、技術を獲得したりすることによって変わりうるものではないかと思います。
環境を正確に価値評価し、「いまここにある」状態で受け入れるのが、「あるがまま」の一つの側面だと思います。
もう一つの側面は、やはり「生きていく」に関わります。
人間はよりよく生きていくために努力する。
ダマシオの考えるホメオスタシスの原理に基づいて、「健康でしかも幸福である」という目的に「あるがまま」であることであると考えます。