母のこと
父が逝って約1ケ月、追うように母も亡くなった。
母は洋裁が得意で、仕立ての注文を受けたり、人に教えたりして、生活の助けとしていた。
妹の小中学校の制服はすべて手作りだった。ブランドの洋服のデザインなど、見ただけでコピーできたという(パクリ?)。自分が小さな頃に、買い物の最後にボタン屋さんで注文の洋服にあうボタンや糸を探している母を待っていたことが何度もある。
母自身もおしゃれでたくさんの洋服を持っていた。
母は老いても、頼まれると洋服を仕立てていた。自分や妹が実家に帰ると、身に着けているものを時間をかけて手で触れていた。
食べることも好きだった。最期は食べたくても食べれなくなった。
「母さん、大好きなデラウエアとばいこう堂のお饅頭買ってきたから入れておくね。向こうで父さんと分けるんだよ。長い間ありがとう」