合氣道
合氣道に関する本を読む機会があり、森田療法との類似している点がありました。
心が一つのことに執着している状態を、心の「停止状態」と言います。心が停止状態になると、使うべきことに心を使えなくなります。誰かに悪口を言われると、それが氣になって他のことに氣が回らない人がいます。上司から叱られると、それが氣になって目の前の仕事に氣が向かない人もいます。
それに対して、心が一つのことに執着せず、使うべきことに自在に使うことができる状態を、心の「静止状態」と言います。
心を静める 大事な場面で実力を120%発揮する方法
藤平 信一 著 幻冬舎文庫 より
これは森田の無所住心に通じるものがあって、以下の文章と比べれば一目瞭然で、
尚ほ吾人の健康なる注意作用に就いて考ふるに、禅に「応に無所住にして、其心を生ずべし」という語がある。無所住心とは、吾人の注意が、或る一点に固着、集注することなく、而かも全精神が、常に活動して、注意の緊張、遍満して居る状態であらうと思はれる。此状態にありて、吾人は初めて、事に触れ、物に接し、臨機応変、直ちに最も適切なる行動を以て、之に対応することが出来る。
森田正馬全集 第二巻 P344 神経質の本態及療法 から
もちろん藤平先生の文章中の「氣になっていること」はいわゆる「とらわれ」であることに違いなく、「心の静止状態」をつくるために、合氣道では、まず身体から訓練していくことが、森田療法の体験的修正に通じるものがあるのではと考えています。