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アクセス可能性

 適応的無意識の話。

 普通の人はどうやって適切な情報に焦点を当て、他の情報はみんなふるい落としているのだろうか。・・・先ほど述べたカクテルパーティの例では、シドニーが手術の説明をしているときには無視できたが、彼が私たちの名前を口にした途端、聞き耳を立てた。ということは、情報が自分に関わるものであるほど、非意識フィルターの「優先」情報リストに載るだろうということだ。

 「アクセス可能性」というのは、やや専門的だが心理学の用語で、記憶の中の情報が活性化する可能性のことを言う。

自分を知り、自分を変える 適応的無意識の心理学 ティモシー・ウイルソン 著、村田 光二 監訳 P50~51

 「適応的無意識」というのは、カーネマンの著書で二重過程理論のシステム1と言われていたものである。ティモシー・ウイルソンは適応的無意識と表わしている。その中で「アクセス可能性」という部分にまさに焦点を当てたい。たくさんある身の回りの情報から、何を選択し、何を意識化するかという問題である。森田療法でいう「とらわれ」というのは、まさにいろいろな刺激で結局その対象に焦点が当たってしまうという、連想の癖??のようなものと考える。ティモシー・ウイルソンに言わせると、「アクセス可能性が高い」ということになる。

 先の引用のような記述が森田全集にも見えるのだ。

 此自覚の起る境界線を以て、之を刺激の方面より観れば、刺激閾と名づけ、又自覚といふ方からすれば、感覚閾、又気がつくといふ事からいへば、之を意識閾とも名づける事が出来る。此刺激と意識の関係は、種々の条件及び事情によりて、其閾の高さが異なって、或場合には、些細なる刺激にも、之を意識し、又他の場合には、随分強い刺激でも、容易に意識しないやうになる事がある。此関係は第一に心身の状況により、第二に刺激の性質及び強さによるのである。

森田正馬全集 神経質ノ本態及療法 P300

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