アレキシサイミア1
アレキシサイミアとは
1970年代の話になるが、こうした心身症の患者さんを観察してきたアメリカの精神科医で、ハーバード大学医学部教授のピーター・E・シフネオスは、心身症の患者さんが、自分自身の率直な感情や葛藤を認識し、“気づく”ことができず、自分の内的な感情を表現し言語化することが苦手であり、空想力や創造力、創造性、共感性が乏しいという特徴を有しているのではないかと考えるようになった。
自己を知る脳・他者を理解する脳 神経認知心理学からみた心の理論の新展開
1 アレキシサイミアと社会脳 P5 苧阪 直行 編 森口 善也 著
ということであるが、森田療法とアレキシサイミアの関係について考えてみる。
自分の感情を起こす元となるある身体・脳の状態があり、それを、いかに人間の脳が「認知処理」するかによって、「ある感情を感じている」と自覚できることになる。つまり、感情の元となる動物的・原始的心身の状態と、実際にできあがる感情という反応物は厳密には異なるのである。感情の元となる動物的・原始的な心と身体の状態を「情動(affect)」と呼んで、「感情(emotion)」と区別することもある。アレキシサイミアは、・・・感情の元となる“火種”のようなものはあるのだけれど、それを「認識」して改めて人間の「感情」として作り上げることの障害なのである。
自己を知る脳・他者を理解する脳 神経認知心理学からみた心の理論の新展開
1 アレキシサイミアと社会脳 P7 苧阪 直行 編 森口 善也 著
森口 善也 先生は、ダマシオや森田が考えたように感情はその元となる身体・脳の状態があると考えている。アレキシサイミアは、それを「認識して、さらに「感情」として作り上げることができない障害としている。続く。