母と子
感情と対象を並置することによって概念が変化することについて
われわれの肉体の一瞬のイメージが他の対象や状況のイメージと並置されるとき、われわれは感情によって、その肉体の中で進行しているものをそれとなく感じ取る。またその際感情は、そうした対象や状況に対するわれわれの概念を変化させる。並置という作用により、身体のイメージが、よい、悪い、楽しい、苦しい、という〈質〉を授けるのだ。
デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 アントニオ・R・ダマシオ著 田中 三彦訳
ちくま学芸文庫 P251
お母さんが乳児に話しかけているシーンを思い出す。
「今日は暖かい風が吹いて、気持ちいいね」
対象と感情を並置し、母が感じたことを子に確認させているようである。子は当然母の表情も見ているだろう。「生きていく」ために必要なスキルを、母は「自然に」「何気なく」日常の生活で教えていっているんだと思う。